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2-21 100kmの下り坂   9/2

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奥の山は天山山脈の一部である。哈密の北からカルリク山脈という天山山脈の支脈が始まる。昼食で寄った塩湖のあたりからはボゴダ山脈という支脈に変わる。哈密からトルファンまで約400kmある。この間、これらの天山山脈の山々を北側に見ながら走ることになる。

三蔵法師はこの距離を6日の行程で着いたとある。1日70kmほどの移動である。馬に乗っての移動であろう。現代の我々は1日で移動する。哈密盆地は標高50mぐらいである。トルファン盆地はほぼ海抜0m。内陸でほぼ海抜0に近い所から、海抜2000mの一碗泉まで登り、再び2000m降る。

一碗泉まではあまり登ってきたという感覚はなかった。しかしここを過ぎると、ぐんぐん高度が下がっていくのが分かる。昼食をとった紅山口の付近は塩湖もあるような平坦な土地であったが、ここから先は鄯善(シャンシャン)までおよそ100kmの間、標高差1500mぐらいを緩やかに下っていく。鄯善手前の60kmは1000フィートの等高線が5本並んでいる。その間の平均の勾配は2%なので坂と呼ぶほどの坂ではない。しかし、この下りが1時間近く続くのである。道は一直線ではないが、大きなカーブはほとんどない。

日本でも数100mの高度差の坂はある。しかし、それは道路が湾曲したり、勾配にも緩急がある坂道である。今までも中国を走ってきて、数10kmの坂はざらにあった。しかし、このように一方的に長大な距離を下る坂は初めてで>ある。カーブがほとんどないのでバイクを傾けることもなくスロットルもほぼ一定である。飛行機で空港に降下している時のような感覚である。

天山山脈は、西に向かうにつれ次第に高くなっていく。対比して見る地表は、はるか先に低く見える。山であるとか、樹木であるとか、建築物であるとか、遮るものは何もないので数10km先の地形が見えるのである。軽井沢から上田にかけて浅間サンラインという道路が山の中腹を走り、眼下に小諸川の流れている山間の平地をはるか先まで眺めることができるが、そこから木々を取り去り土の表面にしただけのような景色である。

標高の差は体に感じる気温ではっきりと分かる。下るにつれて気温が急速に上がっていく。体にあたる風が次第に熱風となってくる。トルファン盆地は中国の内陸で最も海抜の低い場所であると同時に、最も気温の高い場所でもある。


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午前中の後半、急にバイクの調子が悪くなった。トップギアに入れて全開にすると、時々ガス欠になったように息継ぎし、パワーが落ちる。食事中、カムタペットの調整をするということでシリンダーを開けて調整してもらう。

写真のバイクは私のバイクではない。こちらはエンジンの継ぎ目からオイルが吹き出ている。流れ出たオイルがエンジンの側面を伝わり、後輪まで濡らしている。オイルを継ぎ足して走ることになる。




by chukocb400sb | 2018-11-23 04:42 | 2 敦煌からウルムチ | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司