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昼前にイスファハンを出発し、テヘランに帰る。また延々と狭いハイエースに詰め込まれて高速を走る。昼食は、高速を外れ旧道沿いにあるNatanzという村でレストランの予約がされていた。普通の住宅街の中にある家庭的なレストランである。レストランの入口で撮った有名人らしい人写真が飾ってあったのでそこそこ名の知れたレストランらしい。

高速道路のレストランは食事の内容こそ違え、どこの国に行っても同じような雰囲気と仕組みである。食事をするならこのような店がいい。家族経営で郷土料理を出してくれる。 茄子のペースト、乾燥ヨーグルトと茄子の煮込みを選ぶ。他はアーブ・グーシュトというイランの定番料理である。この料理は千切ったナンとスープの具を椀の中で小さなすりこぎ棒でつぶしながらスプーンですくって食べるんだなどと教わっていると、一人のおじいさんがレストランに入ってきた。
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自分は隣で陶器工房をやっているから見学しに来いと言っているらしい。日本人の団体が隣の食堂に来たと聞きつけて声をかけに来たらしい。地元では名の知れたレストランかもしれないが、高速道路からかなり外れた村の住宅街である。外国人の団体客などおそらくめったに来ることはないだろう。

イランの人は外国人にも気軽に声をかけてくる。最初のうちは少し構えていたがこのころになるとだいぶ慣れてきた。それじゃせっかくだから行ってみようと皆でぞろぞろと隣の家をのぞき込みに行った。それほど広くない部屋に花瓶や皿などが所狭しと置いてある。趣味の陶芸だけにしては数が多い。装飾的なものが多いのでお土産用だろうか。絵付け前の未完成品が多かった。家の中に窯もあって焼き上げもここでやるらしい。

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なぜか日本の瀬戸で作られた陶器が置いてあった。これはおそらく電線の配架に使う碍子(ガイシ)ではなかろうか。よくわからないが、これをまねて同じようなものを作ろうとしたらしい。なぜこんなものを作ろうとするのか聞いてみたかったが、アリさんがいなかったので聞くことはできなかった。

言葉が通じないので、どのような焼き物を作ろうとしているのかわからない。花瓶など形のバランスが良く模様もシンプルで土産物としては質がいいのではないか、などと思い写真を一緒に撮り、名刺をもらった。名刺まで作るほど頑張っているのか。ただ名刺はペルシア語なので名前も分からないまま礼を言って工房を辞してきた。

おそらく趣味で陶芸をしているか土産物の陶芸を作っているおじいさんだろうと思っていた。日本に帰ってから無駄だろうと思いつつ名前の読み方ぐらい分からないかと、名刺に唯一英字で記されていたメールアドレスをネットで検索してみた。意外なことにいくつか陶器の画像が引っかかってきた。似たような皿が工房においてあった。手繰ってみると、このおじいさんの名前はアッバース・エディということが分かった。

さらに調べるとイスファハンの観光のサイトにこの家は代々工芸家をしておりこの爺さんが4代目であると説明があった。しかも作品の一つがイラン国営作品(グーグルの日本語訳)の登録番号***で登録されたとある。何かよくわからないが、国の登録作品になるということは普通ではない。ひょっとしたらあのおじいさんはその道の大家ではないか。そんなこととはつゆ知らず、土産物の焼き物でも作っているんだろうと思って気安く肩など抱いて写真を撮っていた。確かに並べられていた焼き物を改めて見ると、なかなかのものではないか。(何を今更。)でもあの瀬戸の碍子は何だったんだろう。

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by chukocb400sb | 2022-05-13 06:32 | 6 マシュハドからタブリーズ | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司