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7-25 街の灯り        9/25

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夜、町の中のレストランで夕食となる。狭い路地の奥にある中庭のある古い石造りの建物である。中庭のある建物は好きだ。囲まれた世界が諸々から守ってくれているようで気を緩めることができる。その建物の中の空間は意外と狭く、中庭からさらに穴倉のような空間に案内させられた。何と隣の席にはあのアルゼンチン軍団が陣取っていた。おう、また会ったなという感じであいさつを交わす。彼らは体が大きいので見ていると食べっぷりも良い。それと比べると日本人は小食である。パンの数かけらで腹が膨れるのである。自分は食べ物には無頓着なのでどんな料理が出てきたか全く記憶がないが、酒を飲んで酔っ払ったことだけは覚えている。

酔ったついでに添乗員に頼んでみた。明日はいよいよイスタンブルだ。まず、その手前のボスポラス海峡に架かる橋で写真を撮りたい。ここはアジアとヨーロッパを分けている場所である。そこを越えるのである。シルクロードの中で重要なポイントである。年賀状の写真は絶対ボスポラス海峡の橋をバックにと決めている。ついでに黒海も見たい。カスピ海を見たのだから黒海を見ないわけにはいかないだろう。地図で見ると、イスタンブルまでの道路は黒海のかなり近くを走っている。ここで見なければもう二度と見ることはないだろう。

添乗員は、また余計なことを言い出しやがって、思い入れの多い客はこれだから困る、別料金でもとったろか、と思ったかどうかは知らないが、一瞬ムッとした顔をしてそれでもケマルにアホは客が酔っ払ってわがままを言っているがどうか、と聞いてくれた。アホな客には慣れているらしい、ケマルはあっさりと問題ないと請け負ってくれた。よしよし。

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翌朝、アザーンの声で目が覚めた。まだ5時である。外は真っ暗である。同室のメンバーと外へ出た。昨日博物館から見えた町の反対側の丘の上にある公園に登って明け方の町を見ようと話していたのである。ジンジ・ハンの門は厚い木の大きな扉で塞がれており、鉄の棒で内側からカンヌキがかけられていた。大きな扉に小さなくぐり戸が造られておりそこは自由に出入りできるようになっていた。同室のメンバーと2人で丘の公園を目指す。

石畳の細い路地をたどるが地図がないと分かりにくい。10分ほど曲がりくねった路地を登り、丘の上の公園にたどり着く。この丘はブドュルクックの丘と呼ばれている。丘からは町が谷になっているのでよく見わたせる。反対側の丘の上には昨日行った歴史博物館がライトアップされていた。町はまだ寝ているが、美しい佇まいの街である。この街に、博物館の管理人の親子や、機織りの女性や、ヴァイオリン弾きの日本の女性が生活しているのである。そう思うと今は静かに寝ているけれど、あの明かりの一つ一つにはそれぞれの生き方があるのだと思えてくる。

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by chukocb400sb | 2023-01-20 07:25 | 7 タブリーズからイスタンブル | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司