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3-00 ウルムチからカシュガル・序  2005/8

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タクラマカン沙漠を縦断する道路があるとは知らなかった。舗装道路であるというが、平坦な土漠ならばともかく、砂丘は風で動く。このような土地に道路など建設できるものなのであろうか。ましてそこをバイクで走ることができるとは思ってもみなかった。今回のバイクは中国製の最新の150ccらしい。このような小排気量のバイクで、8月に砂漠などに行って大丈夫なのか?タクラマカン沙漠も、お盆を過ぎれば少しは涼しくなるのだろうか?

転勤で福岡に単身赴任となった。仕事は厳しかったが、単身赴任者にとって福岡は嬉しい街である。借上げの社宅から会社まで地下鉄で15分、中州は一つ先の駅である。ヤフードームや百地浜という海水浴場まで歩いて30分である。会社の費用でこのようなリゾート地帯みたいなところに住めるとは、ありがたい話である。

ここは、シルクロードの日本の窓口であった。社宅から東に15分歩くと周囲2kmの広大な池からなる大濠公園がある。ここを通り過ぎると、そのまま地続きの舞鶴公園に出る。ここは福岡城のあった場所である。さらに時代を平安時代まで遡ると、公園の一角に鴻臚館という外交使節を受け入れる迎賓館のような施設があった。一帯は少し高台になっており、ビルがなければ博多湾が良く見渡せる眺望のよい場所である。ここは唐からの使節や、招聘された高僧などが逗留した場所である。

沖合の博多湾を囲む砂州の先端の志賀島は、島陰で遣唐使船が東シナ海を渡るための風待ちをした場所である。この島で「漢倭奴国王印」が発見された。現物が福岡市博物館に展示されている。中国との交流の中で生まれたこの金印の文字から、日本の歴史の記述が始まるわけである。

博多港からフェリーに乗り、志賀島を右手に見て博多湾を抜け、4時間も行くと対馬の厳原に上陸する。ここから山中の曲がりくねった国道を北に辿ると、島の北端の鰐浦という小さな漁村に至る。港の脇の丘の上に韓国展望台という建物があり、ここに登ると海を隔てた50km先の釜山の山並がうっすらと見える。夕方になり、山と海との境に釜山の明かりが次第に増えていくのを見ていると、人の気配も感じることができる。日本から、直接目視できるユーラシア大陸の東縁部である。

今では、福岡空港から仁川経由で一挙にユーラシア大陸の深部、ウルムチまで行くことができる。




by chukocb400sb | 2023-12-31 23:40 | 3 ウルムチからカシュガル | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司