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4-00 ウルムチからタシケント・序  2007/8

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サリム(賽里木)湖というその響きも姿も美しい湖があった。ウルムチから西に向かい、カザフスタンとの国境近く標高2000mの高原にある湖である。澄み切った水は光を吸収し、深く青い色をしている。空気が乾燥しているためか、遠くの山の稜線がくっきりと見える。湖岸には牧草が広がり、馬やヒツジも居心地よさげに腰を据えている。放牧生活をしている人々は、夏になるとこの湖のほとりに集まり、パオ(天幕)を張って数か月をここで過ごすそうである。その間には馬による競争などお祭りも行われるらしい。冬は雪と氷に覆われ人の留まる所ではないが、夏は天国のような場所である。この美しい湖を地元に人たちはとても大切にしているという。

ここから先、少し登った峠をもって天山山脈を越えることになる。峠を越えると風景が一変し緑の森が広がっていた。そしてその緑がカザフスタンの大草原へと繋がっている。今まで乾燥した土と石のむき出しの大地を走ってきたが、ほんの少しの水の量の違いで緑の草原が広がる。地形自体は今までの乾燥地帯と大きく変わるものではない。しかし、わずかな緑で風景は大きく違って見える。草原の中を馬に乗った人と羊の群れがゆるゆると動いているところを見ていると、時間もその風景にふさわしくうらうらと流れているような感じがする。

仕事の方は異動になり官庁関係の担当となった。補助金が絡む仕事だったので融通が利かない。出発前日、相手からの内示の連絡を待って一人事務所に「待機」していた。23時過ぎまで待っていたが、来たのは内示は週明けになるとの連絡であった。関係先に引継ぎのメールを打って、帰宅したのは0時過ぎであった。それから荷物の最終確認をし、寝たのは2時くらいであった。時間に追われても給料もらえるから旅行に行けると、翌朝は5時過ぎに起きて、早朝の電車で成田に向かった。

今回、ツアーで使うバイクは中古ではあるが日本製の250ccのオフロードであると言われた。長距離走行において、125ccと250ccでは体の負担に天と地の差がある。250ccのオフロードならば自分も長いこと乗ってきたので慣れている。日本製のバイクならば、故障は少ないし転倒しても基幹的な部位はまず壊れない。それだけで旅の安全と快適が保障されたようなものである。カザフスタンの緑の大草原を時間を忘れてゆったりと走ることができる。少なくとも、旅行会社のパンフレットにはそのように書いてあった。

「サリム」とはカザフ語で「旅人の無事を祈る」という意味であるそうだ。





by chukocb400sb | 2023-12-31 23:35 | 4 ウルムチからタシケント | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司