2-36 故障 9/4
2019年 03月 08日
添乗員のバイクのサスが壊れた。溝を利用してジャンプしてみたらしい。着地した時サスがおかしくなったと言っていた。このバイクはモノサスであるがショックアブソーバーの減衰力が弱く、ほとんどコイルで衝撃を吸収している。ジャンプなんかしたら間違いなく底を打つであろう。よくそんなことをする気になるものだと思う。蝋で翼をつけて太陽に向かって飛んで行ったイカロスのようなものである。
地球の重力を振り切り空間に向かって飛翔するのはいいが、バイクはもともと空を飛ぶようには作られてはいない。写真で見ると、モトクロスのジャンプは空を飛んでいるように見えるが、実際は斜め上に移動しながら地表に向かって落下しているだけのことである。昔、自分も練習すればバイクで空を飛べると信じていた。ある日、トレール車でジャンプをして着地にしくじり、もんどりうってひじや肩にひどく痛い思いをしたうえハンドルを曲げ、交換に1万数千円を払うこととなった。それ以来、バイクでの空の旅は金がかかることに気づききっぱりと止めている。
修理に1時間ぐらいかかるらしい。スタッフが埃だらけの道端で、座席を外し、モノコックのサスを分解し始める。グリースのついた部品を、道端の石の上などに丁寧に並べている。このような場所でそこまでやるか。
修理に時間がかかるので大休止となった。その間、近くの丘にバイクで登って遊ぶ。登ったり、降りたり、斜面をUターンして帰ってきたり、緩やかな起伏の丘が無数にあるので、格好の遊び場になる。眺めのいい丘の上にバイクを置いて記念写真を撮る。
道路の北側は見渡す限り山である。遠くに天山山脈の雪を抱いた山が見える。そこまで無数の丘陵と山が続いている。片側は草原が広がっている。草原の数km先には山が見える。地表は、所々草が生えている砂利交じりの土である。走りやすい場所である。どこを走っても文句の言われない、変化にとんだ見晴らしのきくこのような地形を見ると、たいへん嬉しくなる。
バイクの修理が終わった。どこが悪かったとか詳しくは聞かなかったが、モノコックのサスというものは道端で直して直るものだろうか。しかしこれで走るようになるのであるから、大したものである。壊れやすいが、すぐ直せる。壊れにくいが、すぐ直せない。さあ、どうする。
ウルムチへ抜ける道は、谷あいのつづら折りの下り道であった。未舗装から荒れた舗装へと変わる。下りのオフは苦手だ。先行グループに置いて行かれる。今日が最後の走行日なのでゆっくり走ることに決めた。バイクは自分に合った速度で一人で走るのが一番気楽である。止まりたいところで止まり、攻めて見たくなったら攻める。何人かは私と同じようにそれぞれで走っていたようだ。たらたらと景色を見ながら走る。道の脇が広いところで先行グループが待っており、ぱらぱらと後続組が集合する。全員揃うと今度は隊列を組んで移動する。
やがて山が切れ、平地に出る。畑が広がり、部落を通り過ぎた。東山地区団地と看板に書かれた公団住宅のようなアパート群が出現しウルムチ市内へ入る。このバイクは排気量は少ないわりに、排気音は大きい。中国ではバイクの集団は珍しい。まして、山の中から10台近くのバイクの集団が出てきて、住宅街でエンジン音を響かせていたら何事かと思うだろう。子供たちが、我々ををいぶかしげに見ている。
by chukocb400sb
| 2019-03-08 05:12
| 2 敦煌からウルムチ
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