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5-33 今日の日の入り     9/20


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国境事務所のゲートを出た所には駐車場があるだけで、そこから先は相変わらず殺風景な草原が広がっていた。その中を広い未舗装の道路が続いている。これが50km続くらしい。この道一本しかないので未舗装道路の終わりまでフリーランとなる。集合は舗装道路に出た所と決められた。

この道路、路面はフラットであるが尖った石が頭を出し、握りこぶし大の石が転がる粗いヤスリのような道路である。まともに走ると転がる石にハンドルを取られて走りにくい。最初、荒れた道路より横に広がる土漠のほうが走りやすいかと、道を降りて走ってみた。一見走りやすそうに見えたが、実際は起伏があり部分的に柔らかい砂があるのでスピードが出ない。元の道路に戻る。思い切ってアクセルを開けて80kmくらいで飛ばす。

バイクはスピードを出すと直進性が強くなる。この道は浮石にハンドルを取られ左右にはじかれるが、速度を上げて走っていると直進への復元力が強くなる。多少ハンドルを振られても力を抜いてバイクに任せればまっすぐ前に走ってくれる。軽い250ccだとこの道はつらいかもしれないが、400ccのトルクと車重があるとこのぐらいの速度で走ったほうが安定するのだ。このような道が得手不得手ですぐに各自バラバラとなってしまった。ほぼ真っ直ぐな道が続く。左右は土漠で風景の変化がない。

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右前方の土漠の中に土煙が見えた。ゆっくりと移動しているようである。小さな竜巻でもあるのだろうかと思っていたが、近づくと土煙の中をトレーラーが走っているではないか。道路から右側に50mくらい離れたところを並行して走っている。確かにこの荒れた路面では4輪はきつい。速度を出すとパンクするかサスペンションを痛めかねない。こんなところで立ち往生したらお手上げである。しかしまさか道を外れてトレーラーが土漠の中を走っているとは思わなかった。

はっきり言ってこの道は自分のバイクでは走りたくない。路面に突き出た切り立った石でタイヤが傷だらけになるからだ。万が一転んだら、荒い大根おろしの上でスライディングするのと同じことになる。よくこんな道を作ったものだと思う。トレーラーのプロドライバーも熱烈に敬遠するこの道を、およそ1時間走ったところでダート終了地点となる。三々五々とバイクが集まってくる。サポートカーのバンを待つがなかなか来ない。やはりスピードが出せないのだろう。待っていても仕方ないので皆で相談し、ゆっくりと先に行くこととした。

19時過ぎ、日没となる。草原の中に夕日が沈む。今日は地平線から出る朝日を見て、地平線に沈む夕日を見ることとなった。美しい光景であるが、今日の目的地ジャナオゼンまではまだ100kmあまりある。真っ暗な草原の中の道をあと2時間は走らねばなるまい。その時間は暗闇の中に魂を預けなければいけないのだ。楽しい気分ではない。

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by chukocb400sb | 2021-08-20 05:33 | 5 タシケントからアクタウ | Comments(0)

この旅行記は、シルクロードを西安からベネツィアまでレンタル・オートバイのパックツアーを乗り継ぎ、17年かけて走ってきた記録である。


by 山田 英司