6-30 大王の趣味 9/18
2022年 04月 29日
2日目の午前中、歩いて再びエマーム広場に向かう。ここにはモスクが2つある。イマーム広場を囲うアーケードの東側のモスクは王の個人用のものである。大規模なものではないが、ここのドームはイスラム建築の最高傑作のひとつと言われている。このドームの天井を見上げると、満天の星空を見上げた時のような感覚になる。青と金色を基調にクジャクが羽を広げたように華やかな模様が広がっている。この模様は描かれた絵ではなく一色ごとの小さなタイルのピースを張り合わせたそうである。完成まで17年かかったそうである。
ドーム下のたくさん並んだ天窓から光を入れているのだが、強い光を分散させてドーム内部全体に光がいきわたるよう、またどの時間帯でも光が入るよう計算されている。別の部屋には高い壁の窓から薄暗い部屋に差し込む日の光が強烈である。こちらは時間を計算して祈りの場にスポットライトのように光が当たるようになっている。よく考えられていると思う。
もう一つのモスクはアーケードの南に作られた一般用のモスクである。このモスクは45度の角度でアーケードと接続されメッカの方向を向いて祈りができるようになっている。そういえばホテルの部屋にもメッカの方向を向く表示が天井にあった。このモスクのドームは巨大で、高さが52mもある。一般用だからと言って手を抜いているわけではない。ここのドームのタイル模様も精緻な美しさを持っている。
ここのドームには天頂の真下に7つの石の印があり、それぞれの石の上で手をたたくと各々違った音が反射で帰ってくる。これはドームの形状が正確に作られているからだと説明を受けた。ここでコーランを暗唱するとドーム全体に響くのである。写真の手をたたいている人の足元の床が四角く少し黒くなっているのがわかるだろうか。太陽の光を演出した建築は多いが、音響効果まで計算したものはあまりないだろう。
ドームタイル修復用の巨大な台が置いてあった。ブルーシートの向こう側は細く切ったスイカの皮を上に向けて寝かせたようなドーム実物大の巨大な台である。ここにタイルを並べて納まりを確認し、番号をつけ実際のドームに貼るとのことであった。地上に置かれているとその大きさがよくわかる。
午後、チェヘルストーン宮殿というところに行った。40本の柱の宮殿という意味である。実際の柱の数は20本である。これが宮殿の前の池に映って40本ということらしい。この建物はドーム構造ではなく手前に巨大な庇のような平らな陸屋根があり、それを木造の柱が支えている。この柱の数が20本である。この様式はイスラム建築のものではなく古代ペルシアの様式である。この部分は木造である。木造だからシロアリが出るが、鳩が食べてくれるそうだ。
この平らな屋根の奥には外に向かって大きな口を開け三方は壁に囲まれた大きな空間がある。鏡の間と言われている。奥の壁と天井には鏡がはめこまれている。真上を向いてカメラのシャッターを切ると天井に自分の姿が映っていた。その奥の部屋には6枚の大きな壁画があり、サファビー朝の歴史や戦いなどが描かれている。
アッバース1世は建築が趣味であった。イスファハンにこれだけの建築群の造営を命じながら実際に居住したのはごくわずかな期間であった。イスファハンより気候のいいカスピ海沿岸の地に新しい離宮を築きほとんどそこで過ごしたという。自分も金があったら家を建て直したい。その時はイスファハンの宮殿を参考にするよう工務店に注文しよう。
by chukocb400sb
| 2022-04-29 06:30
| 6 マシュハドからタブリーズ
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